UDO 音楽事務所

TEDESCHI TRUCKS BAND/テデスキ・トラックス・バンド

BIOGRAPHY バイオグラフィー

彼らが奏で紡ぎ出す音楽には魂が宿り、やがて喜びに満ち溢れた至福へと誘う





 ザ・オールマン・ブラザーズ・バンドのブッチ・トラックスの甥であるデレク・トラックスは、9歳のときにギターを手にすると、またたく間にその才能を開花させ、18歳にして『デレク・トラックス・バンド』でデビューを飾る。レジェンド・ミュージシャンたちからの評価も高く、エリック・クラプトンのツアーに参加するなど、一気にその存在感を増していく(なお、彼の名前の由来はデレク・アンド・ザ・ドミノスから)。米国の雑誌『ローリング・ストーン』では、ジョン・メイヤー、ジョン・フルシアンテ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)と並ぶ写真が表紙を飾り「現代の三大ギタリスト」と称されるようになる。また、オールマン・ブラザーズ・バンドのギタリストとしても活動し、亡きデュアン・オールマンを彷彿とさせるギター・プレイを披露した。そのデレクの妻にして、シンガー/ギタリストとして活動していたスーザン・テデスキはは、バークリー音楽院に学び、ボニー・レイットのような歌とギターの腕前で、グラミー賞のコンテポラリー・ブルース部門でデレクと最優秀賞を競い合ったほど高い評価を得ていた(グラミーのノミネートは5回)。

 そんな二人が一緒に活動するようになったのは2010年の春頃からで(結婚は2001年)、当初は「デレク・トラックス&スーザン・テデスキ・バンド」としていたが、のちに「デレク・トラックス・バンド」を名乗るようになる。エリック・クラプトンが主催する“クロスロード・ギター・フェスティバル”に出演するなど活動範囲を広げ、2011年6月に1stアルバム『レヴェレイター』を発表する。この作品は、第54回グラミー賞で最優秀ブルース・アルバムを獲得し、バンドとしてとても幸先の良い船出となった。翌年には、初来日公演を行い各公演がソールド・アウトと大成功を収めたのだった。

 2013年8月、2ndアルバム『メイド・アップ・マインド』を発表。高い完成度はもちろんのこと、長期間のツアーとその圧倒的な実力によるライヴ・バンドとしての評価が、バンドをさらなる高みへと押し上げることとなる。このアルバムに伴うジャパン・ツアーも成功をおさめ、何より各会場での熱量はホールから溢れんばかりのエネルギーだった。

 2016年にはレーベル移籍第一弾となる作品『レット・ミー・ゲット・バイ』をリリースし、米ビルボード・チャートでTOP10入りを果たす。また、3回目となる来日公演では初の日本武道館公演が実現した。その翌年リリースされたライヴ盤『ライヴ・フロム・ザ・フォックス・オークランド』が、第60回グラミー賞ベスト・コンテンポラリー・ブルース・アルバムにノミネートされるなど、バンドの活動の充実度と人気がさらに上昇している。

 2019年2月、4枚目のアルバム『サインズ』をリリース。デレクのギターワークにスーザンのソウルフルな歌声が光る本作も、これまでの作品同様にブルース、ソウル、ゴスペル、ロックなど、バラエティに飛んだ内容をさらに昇華させた、芳醇なブルース・ロック・アルバムを作りあげたのだった。同年6月のジャパン・ツアーも公演日毎によって異なるセットリストで各会場を湧かせたのだった。コロナ禍真っ只中の2021年夏には、デレク・アンド・ザ・ドミノスの『いとしのレイラ』の完全再現ライヴを収録した『レイラ・リヴィジテッド』をリリースし、彼らのルーツど真ん中を継承する至高のパフォーマンス音源(2019年のライヴを収録。ドイル・ブラムホールⅡやトレイ・アナスタシオが参加)は大きな話題となった。

 10年以上に渡って米国と海外で着実にツアーを行ってきた彼らは、世界最高のライヴ・バンドのひとつとして観客・評論家から高い評価を得ている。ビーコン・シアター、ライマン・オーディトリアム、レッド・ロックス・アンフィシアターなど有名会場で行われた公演は、ファンが期待する見逃せないコンサート体験の証となっている。

 2022年にリリースされた最新作『アイ・アム・ザ・ムーン』は、『Ⅰ.クレッセント』、『Ⅱ.アセンション』、『Ⅲ.ザ・フォール』、『Ⅳ.フェアウェル』の全4章(4枚)に渡る壮大なプロジェクトで、それぞれをほぼ1ヶ月毎に発表という手法によるもの。ツアー活動がパンデミックによって寸断され、孤立状態となる中、メンバーたちが互いに繋がりを保つ方法として、『いとしのレイラ』の出典元=ペルシャの12世紀の詩人・ニザーミーによる詩『ライラとマジュヌーン』を深く掘り下げようとヴォーカル/コーラスのマイク・マティソンが提案。メンバー全員がその詩を読み、原作に描かれているさまざまなテーマからインスパイアされ曲作り、セッションを重ね、彼らのキャリアでもっとも野心的なプロジェクトとなった。また映画監督アリックス・ランバートが手掛けた映像も同時公開され、その物語にさらなる深みと広がりをもたらしている。

 この秋10月には待望の来日公演が決定。ツアー、ライヴ活動を信条とする彼らが足を踏み入れた新たな境地となる最新ツアーには期待が膨らむばかり。ぜひとも会場へ足を運び、彼らの真骨頂を身体全体で受け止めてもらいたい。

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