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RODRIGO Y GABRIELA/ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ

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  • RODRIGO Y GABRIELA 来日直前!ロドリーゴの最新インタビューが到着!!
    2025.03.18

    「日本のように音楽をちゃんと聴いて、リスペクトしてくれる観客の前で演奏できるのは、本当に嬉しいことなんだ。」



    写真左から:ロドリーゴ・サンチェス、ガブリエーラ・クインテーロ

    2025年4月、9年ぶりに来日を果たすメキシコ出身のグラミー賞受賞ギターデュオ、ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ。最新アルバムの制作秘話から、日本との絆を描くエピソードまで―ロドリーゴ・サンチェスが語るバンドの“今”に迫ります。

    ― 初来日から17年が経過しましたが、今回、滞在中に楽しみにしている場所や体験したい日本の文化、食べ物があれば教えてください。

    ロドリーゴ:日本で演奏するのは大好きだけど、これまで観光で訪れたことがなかったんだ。だから今回は、日本ツアーの後にオーストラリアで公演をして、それが終わったらまた戻ってきて休暇を取るよ!東京に5日滞在して、そこから車を借りてガールフレンドと鎌倉、京都、奈良、大阪…北の方まで回って、最後東京に戻る。1か月かけて旅する予定だ。


    ― 2023年リリースの『In Between Thoughts ... A New World』の制作はパンデミック禍に行われたと聞きました。この期間、音楽活動が制限される中で、アーティストとしての考え方や創作スタイルにどのような変化がありましたか?

    ロドリーゴ:パンデミックを経て「In Between Thoughts」の制作を進める中で、僕ら自身もファンの意識も大きく変わったと思う。これまでとはだいぶ違うアルバムだったこともあり、コロナが明けてからの2年間、このアルバムを演奏するのは一種の挑戦だった。僕らはアコースティックギター・デュオとして知られていたのに、一気にサウンドが変わったからだ。でも、それは僕ら自身が選んだ道だった。少しずつではなく、思い切って変えようと決めたんだ。

    2年間のツアーでは、アルバムの全曲に加えて、新曲も3曲演奏したよ。その多くにバックトラックを取り入れつつ、アコースティック・セットも少し残した。結果として、ファンは僕らの変化や新しい挑戦を尊重してくれた。それがとても嬉しかったよ。ただ、日本にはもう何年も訪れていないから、今回のツアーでは、新作からの曲は少なめにして、昔の懐かしい曲をたくさん演奏しようと思っている。

    そんなふうに、ここ数年で、アコースティックギター・デュオという僕らのイメージが変わりつつあることは、今取り掛かっている新作にも反映されているんだ。それもまた、これまでとはまったく違う内容になりそうなので、僕らとしても楽しみだよ。


    ―『In Between Thoughts ... A New World』の制作では、エレキギターを全編に取り入れたり、オーケストラとのコラボレーションしたりと、これまでのアコースティック主体のスタイルから大きく変化しましたが、それに伴う難しさはありましたか?

    ロドリーゴ:特に難しさはなかった。ただ、スタジオで自分達に問いかけたんだ。「今、世の中ではこんなことが起きている。そして今僕らは、エレクトロニクスな方向に行きたいと感じている。そうするべきか、それともやめるべきか」と。そして、やることに決めた。リスクがあるのはわかっていたけど、同じことを繰り返したくないと思ったんだ。

    20年間、僕らはアコースティックギターだけを弾き続けてきたけど、このまま続ける方法がわからなくなっていたんだ。他にもたくさんのアイデアがあったからね。もちろん、アコースティックギターは今も大好きだよ。でも、僕らはもともとアコースティックを弾く何年も前からエレキギターを弾いていたから、エレキを弾くのはお手のものなんだ。今は両方が弾ける。最高だよ。


    ― 『In Between Thoughts ... A New World』の収録曲「Descending to Nowhere」のMVはメッセージ性が感じられる映像でした。実際、どのようなメッセージやコンセプトが込められているのですか?

    ロドリーゴ:あの曲とビデオ、そしてアルバム全体の根底にあるメッセージは、アドヴァイタ・ヴェーダーン(西洋では“非二元論”)として知られる哲学だ。ガブリエーラと僕にとっては、もう何年も前から心の指針だったが、パンデミックの時期は特に教えられることも多かったので、このアルバムを捧げたいと思ったんだ。あの時期、ああやって自分たちの心の内を表現できたことは、すごく大事なことだったと思う。それが出来たからこそ、その時期を乗り越えることができたし、今でも、物の見方や日々の感じ方に大きな影響を与え続けているよ。

    僕もガブリエーラも、何年も前から瞑想をしている。僕は仏教の教えにも関心があるんだ。ビデオや本で知ったアドヴァイタ・ヴェーダーンやラマナ・マハリシの教えが自分の中に響き始めた時、もっと深く知りたいと思い、調べてみた。ガブリエーラに話したらすごく興味を示してくれた。実際、かなり独特な考え方だからね。

    アルバムで描いているのは、まさにアドヴァイタ・ヴェーダーン。曲のタイトル一つ一つにも意味があり、アルバム全体にもストーリーがある。僕らの音楽には歌詞はないが、心の中にある物語が込められている。そして曲順もまるで、非二元論を発見していく人の人生をたどるようになっているんだ。


    ― 登場人物が日本刀のようなものを構えているシーンは印象的でした。このシーンについてエピソードがあればぜひ教えてください。

    ロドリーゴ:あれはビデオ監督のアイデアだ。要は、あの曲の主人公が“ある瞬間に存在していること”を表したシーンなんだ。彼は今まさに落ちていくように感じ、崩れ去る絶望の中で魂の暗夜をさまよっている。でも、実際にはそんな場所は存在しない。それは心が作り出した幻想に過ぎない。日本刀は、それを乗り越えて、本当の自分の強さに気づく象徴なんだ。

    結局、戦うべきものなんて何もなくて、人は「思考だけ」でも「身体だけ」でもないことに気づけばいい。でも、こういうことって、何度も耳にするわりに、ちゃんと立ち止まって考えることは少ない。「自分は思考だけでもなければ、身体だけでもない。じゃあ、本当の自分とは何なのか?」 そう問いかけたとき、すべてが動き出すんだ。



    ― お二人が拠点を置くメキシコ・イスタパの自宅スタジオは「Lumbini Studio」と呼ばれているそうですね。名前の由来を教えてくれますか?

    ロドリーゴ:ルンビニーはブッダ(ゴータマ・シッダールタ)が生まれた地さ。スタジオを建てた15年前、僕は仏教に傾倒していたのでそれを名前にしたんだ。


    ― スタジオツアーの動画を拝見しましたが、素敵な景色が見える居心地の良さそうな空間ですね。

    ロドリーゴ:本当に素敵な場所だよ。オフィスみたいに気軽に毎日通える空間を作りたかったんだ。エアコンが効いていて、季節に関係なく一年中快適だし、行けばギターを弾いたりのんびりくつろげる、こんなスタジオを作れたのは、僕らにとって最高の決断の一つだったと思ってるよ。


    ― だるまや招き猫、大仏が置かれていますね?

    ロドリーゴ:ああ、あれらの多くは日本で買ったものだよ。仏像やお寺で見たブッダのレリーフはドイツで買ったものだ。そういうものに囲まれていると、心が落ち着くんだ。



    ― 日本の文化や日本での経験がお二人の音楽に影響を与えたと言えますか?

    ロドリーゴ:ああ!長年ツアーを続けてきたけれど、アメリカやヨーロッパを回ることが多い中で、日本での経験は特別な思い出だ。本当に大好きなんだよ。振り返ってみると、日本ツアーで体験したことが、音楽活動の枠を超えて、人としての僕らの大きな経験になっていると思う。本当に美しい国だ。


    ― 今回のジャパンツアーで、ファンはどのようなパフォーマンスを期待できますか?特に注目してほしいショーのハイライトがあれば教えてください。

    ロドリーゴ:今回の日本ツアーでは、ファーストアルバムや2008年の『Live in Japan』といったロドリーゴ&ガブリエーラの代表曲をたくさん演奏するので期待してほしいよ。それだけでなく、各アルバムのシングル曲もセットリストに入れる予定だ。『11:11』、『9 Dead Alive』、そして日本ではまだライヴで披露できていない『Mettavolution』からの曲も。もちろん最新作の曲も演奏するし、今年の年末にリリース予定の新しいアルバムからの新曲も披露するつもりだよ。僕らも楽しみだ。


    ― その新しいアルバムはこれまでとは全然違うものになる、とおっしゃってましたよね?

    ロドリーゴ:ああ。なぜそうなったか、理由はあえて言わないが、全然違うものになるよ。いい意味で…場合によっては悪い意味かな?(笑)とにかく、みんなを驚かせることになると思う。まもなくレコーディングに入るよ。


    ― 日本でのライブパフォーマンスを行う際、他の国での公演と比べて特に意識していることや工夫している点はありますか?

    ロドリーゴ:日本でとにかく印象的だったのは — これは僕たちのファンに限らず、音楽ファン全体がそうだと思うんだけど — 手拍子をするにしても何にしても、みんな一糸乱れず、タイミングもバッチリ、完璧だってこと。そういう意味で、日本のように音楽をちゃんと聴いて、リスペクトしてくれる観客の前で演奏できるのは、本当に嬉しいことなんだ。もちろん盛り上がるところは盛り上がってくれるし、そもそも音楽は楽しむためのものだけど、日本のファンはそれだけじゃないんだ。それに、こちらが「こうして」と言えば、ちゃんとやってくれる。演奏していて本当に気持ちがいい。

    あと、今度のツアーでは実はある有名な日本の曲を演奏しようと思ってて、もう練習をしているんだ。きっとたくさんの日本人が知っているはずの曲さ。特にアニメの世界では有名な曲。僕ら、大のアニメ・ファンなんでね。


    ― 何の曲でしょう?

    ロドリーゴ:それは聴いてのお楽しみ。


    ― 最後にジャパン・ツアーに向けての意気込みと、日本のファンへメッセージをお願いします。

    ロドリーゴ:9年ぶりの日本、本当に楽しみだよ。2020年の『Mettavolution』ツアーでは行けなくて残念だったけど、ようやく行けるからハッピーさ。みんなに会えるのを楽しみに…メキシコから愛を送るよ。すぐに会おう!




    interview & translation:Kyoko Maruyama

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