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PAUL GILBERT/ポール・ギルバート

BEHOLD ELECTRIC GUITAR TOUR

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  • PAUL GILBERT 日本ツアーがスタート!MR.BIGのカバーなどが炸裂した昨夜のライブレポートを掲載!
    2019.12.04

    ポール・ギルバートの“BEHOLD ELECTRIC GUITAR TOUR”ジャパン・ツアーが12月3日、東京・新宿ReNY公演で開幕した。

    最新アルバム『ビホールド・エレクトリック・ギター』で元々歌詞とメロディのあるヴォーカル・ソングとして書かれた曲をインストゥルメンタルにしてレコーディングするという変則的な作風を提示したポール。「ギターがリード・ヴォーカルなんだ」と語るとおり、ギター・プレイにありったけの歌ごころを込めたステージで魅せてくれた。

    ショートヘアに眼鏡、ネクタイにジャケットという、ハード・ロッカーらしからぬファッションで登場したポールは「トーキョー、コンバンワ!」と挨拶。いきなり新作からの「ブルース・フォー・ア・ラビット」でブルージーに弾きまくる。今回、彼が弾くアイバニーズ・ファイアマンのシグネチャー・パープル・モデルは“リード・ギター”と“リード・ヴォーカル”という一人二役の大活躍ぶりだ。瞬きをするヒマもない超絶テクニカル速弾きから詩情に満ちたメロディまでが披露され、スライドを多用することで歌メロの“揺らぎ”を表現する。

    満員となった会場は最初から熱気に溢れているが、「ヒサシブリ!」の挨拶を挟んでプレイされた「ハヴィン・イット」はイントロだけで声援が湧き上がる。しかし、続いてMr.BIGのクラシックスのひとつ「グリーン・ティンティッド・シックスティーズ・マインド」のイントロのトリッキーなタッピングは、場内が一瞬膨れあがって爆発させるものだった。

    予測不可能なことが起こるのがポールのライヴだ。「エクササイズ向けの曲だ!」という前置きからプレイされたのが、何と映画『ロッキー』のテーマ。ギャグで一節だけをプレイするのではなく、フル・ヴァージョンを演奏、随所にスーパー・プレイを挟み込んで、これまで聴いたことのないスリリングなヴァージョンへと生まれ変わらせている。

    冴えわたるポールのギターに加えて、彼をバックアップするメンバー達も腕利き揃いだ。アイク・ターナーとツアーした経験を持つビル・レイ(ドラムス)、ドクター・ジョンと活動したこともあるローラン・ゲラン(ベース)、自らのプロジェクト、ヘイロー・リフューザーを率いて活動するアッシャー・フュレーロ(キーボード)という布陣は研ぎ澄まされたテクと極太のグルーヴを兼ね備え、時にポールをがっちり支え、時に首根っこに噛みついてくる。アルバムにも参加している彼らだが、「レット・ザット・バッテリー・ダイ」「エヴリホェア・ザット・メリー・ウェント」はライヴでさらに一触即発のスリリングなナンバーへと変貌を遂げていた。

    どこかとぼけたキャラで愛されるポールだが、もちろんその“本職”は高度なテクニックを誇るギタリスト。また彼は初心者からプロ志望までを教えるギターの“先生”でもあり、「サー、ユー・ニード・トゥ・カルム・ダウン」では「この曲はC#で...」、「アイ・オウン・ア・ビルディング」では「Amに7thを加えて...」と説明を加えていく。そんな理屈が判らずとも問題はないのだが、ちょっとしたヒントによって、より楽しめるファンも少なくないだろう。

    ほぼ全編、インストゥルメンタルで通したライヴだが、ポール自らのヴォイスをフィーチュアしたのが「ア・ハード・オブ・タートルズ」だ。この曲はインストゥルメンタルであるものの、後半に“リンゴ・スター風”とポールが語るポエムが語られる。自らの聴覚障害をネタにした「耳がほとんど聞こえないのに、どうして音楽を続けるの?」「自分の内面で聞こえる音を奏でるんだ」というフレーズは、ユーモラスなようで悲愴な決意を表すものだ。

    「エヴリ・スネア・ドラム」はアルバムの他の曲と同様に“ヴォーカル・ソングとして書かれた曲をインストゥルメンタルにした”ナンバーだが、ポールが元々のヴォーカル・ヴァージョンで歌うという趣向もあり、ファンを喜ばせていた。

    そしてこの日の後半はロック・クラッシクス大会で盛り上げる。『ビホールド・エレクトリック・ギター』と同様、ヴォーカル入りの曲をインストゥルメンタルとしてプレイするもので、カンサス「伝承」、ヴァン・ヘイレン「悪魔のハイウェイ」、ビートルズ「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」、ポリス「キング・オブ・ペイン」はポールのギターを得て、歌詞がなくとも雄弁に語りかけてくる。いずれの曲もサワリだけでなく、たっぷりフル・ヴァージョンで満腹にしてくれた。

    「世界一のメタル・ヴォーカリストはロニー・ジェイムズ・ディオだ!」と宣言してプレイされたのが、レインボーの「スターストラック」?「スティル・アイム・サッド」のメドレーだ。元々はヤードバーズのヴォーカル入り曲をレインボーが『銀嶺の覇者』(1975)でインストゥルメンタル・カヴァー、『オン・ステージ』(1977)ではヴォーカル入りでプレイしたものだが、ポールのヴァージョンはヴォーカル無しで後者を孫カヴァーしたようなイレギュラーなものだった。

    しかし観衆が待ちわびていたクラシックス中のクラシックスが、Mr.BIGの「トゥ・ビー・ウィズ・ユー」だ。「とてもポピュラーな曲だ。みんなも知っている筈だよ」と紹介されたこの曲はもちろんインストゥルメンタルで、スライドをフィーチュアしながら若干グルーヴィなアレンジに変化していたが、この日最大の盛り上がりを見せ、コーラスを歌う者も見られた。

    ハイ・エナジーなブギー調の「ラヴ・イズ・ザ・サッデスト・シング」でアッパーにライヴを締め括るかと思いきや、最後には予想外のジミ・ヘンドリックスの「レッド・ハウス」が飛び出す。これもインストで行くか?...と思いきや、ヴォーカル入りだったが、ギターはたっぷり弾きまくり、ブルージーな楽曲で最初と最後をサンドイッチする構成となった。

    笑いあり涙あり、そしておびただしい量のギターで胸がいっぱいになるライヴ。“ビホールド=見よ!”というアルバム・タイトルの通り、エレクトリック・ギターを見て、聴いて、堪能した夜だった。

    山崎智之

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