BIOGRAPHY

兄であるルドルフ・シェンカーの影響でギターを始め、スコーピオンズのデビュー・アルバム『恐怖の蠍団』(1972年)に参加。翌年、英国のUFOに加入し『現象』、『フォース・イット』、『ノー・ヘヴィ・ペッティング』、『新たなる殺意』、『宇宙征服』の5枚のオリジナル・アルバムに参加。冴えわたる彼のギター・サウンドによってバンドは全盛期を迎え、その存在感がロック・シーンで確固たるものとなった。そして1978年にリリースされたライヴ盤『UFOライヴ(Strangers In The Night)』に残されたマイケルの鬼気迫るプレイには目を見張るものがある。『UFOライヴ』の発売直前にバンドを脱退(2回目の来日公演の直前だった)した彼はスコーピオンズに一時的に復帰し、アルバム『ラヴドライヴ』の3曲に参加したものの、ソロ・バンド活動への道を進み始める。

自身のバンド=マイケル・シェンカー・グループ(通称:MSG)を結成し、1978年、デビュー作『神(帰ってきたフライング・アロウ)』をリリース。ハードロックのお手本とも言うべき「アームド・アンド・レディ」や、名インストゥルメンタル曲として知られる「イントゥ・ジ・アリーナ」などが収録されている。その後、元UFOのポール・レイモンド(key)やコージー・パウエル(dr. 元レインボー)らをメンバーに迎えアルバムの制作を進める中、1981年、2ndアルバム『神話』発売前には初来日公演が行われ、熱狂的な観客に迎え入れられ大成功を収めた。日本武道館公演を収録したライヴ盤『飛翔伝説 MSG武道館ライヴ』はMSGのスタジオ・アルバムよりも評価されるほどであった。
元レインボーのグラハム・ボネットを迎えて制作された3rdアルバム『黙示録』は、彼のパワフルなヴォーカルに呼応するがごとく最高のギターを響かせているが、グラハムはリリースを待たずに脱退(コージーもその前に脱退)したため、ゲイリー・バーデンを呼び戻しミュージック・ビデオもゲイリーの歌唱で収録されている。1983年の『限りなき戦い』まで4枚の作品をリリース。この時期のマネージメントは、デフ・レパードを世に送り出したQプライムのピーター・メンチが担当(現在ではメタリカやミューズなど数多くのバンドが所属している)し、マイケルを世界に向けて売り出す大きな役割を果たしている。

1987年、ロビン・マッコーリーを迎えて『パーフェクト・タイミング』をリリース。1993年までバンド名をマッコーリー・シェンカー・グループとあらため活動を続けたが、その後UFOの再結成に参加する。
2011年に発表したソロ・アルバム『テンプル・オブ・ロック』にちなみ、マイケル・シェンカーズ・テンプル・オブ・ロックというプロジェクト名で活動を続けた。
2016年には、歴代ヴォーカリストたち、ゲイリー・バーデン、グラハム・ボネット、ロビン・マッコーリーを始めMSGのメンバーを結集したマイケル・シェンカー・フェストを立ち上げ、日本公演はもちろん世界ツアー各地のファンを歓喜の渦に巻き込んだのだった。

2024年、UFO時代を振り返り、数々の名曲を再録したアルバム『マイ・イヤーズ・ウィズUFO』を発表。収録曲とジャケット・デザインがライヴ盤『UFOライヴ』に沿ったもので、それだけでファンにとってはたまらないのだが、アクセル・ローズ、スラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼス)、ディー・スナイダー(トウィステッド・シスターズ)、ジョーイ・テンペスト(ヨーロッパ)、ロジャー・グローヴァー(ディープ・パープル)、カイ・ハンセン(ハロウィン、ガンマ・レイ)、スティーヴン・パーシー(ラット)、カーマイン・アピス、エイドリアン・ヴァンデンヴァーグ(ホワイトスネイク)等々、豪華で強力なゲスト陣に圧倒される。セールスも好調で春から夏にかけてフェスティバルを含む欧州ツアーが組まれている。

そして、2026年1月で決定した来日公演は、38年ぶりとなる日本武道館で開催されることとなった(大阪はフェスティバルホール)。マイケルと武道館といえば、前述した『飛翔伝説』の印象がもっとも強いが、その初来日時の武道館からは実に45年という節目となる。彼のシンボルである、白と黒のカラーリングのフライングVから奏でられる、ハードロックのお手本ともいうべきリフと、マイナー調の泣きのメロディで構築された音色は、日本人の琴線に触れ、ハードロックだけでなく多くのミュージシャンやファンに大きな影響を与えている。来るジャパン・ツアーでは、マイケル・シェンカー熱が世界のどの国よりも圧倒的な日本のファンが集結し(BUDOKANということで海外からもたくさんのファンがやって来るに違いない)、メモリアルな“ONE NIGHT AT BUDOKAN”になることだろう。

マイケル・シェンカー ©earMUSIC Photo: Tallee Savage