RUFUS WAINWRIGHT/ルーファス・ウェインライト

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  • RUFUS WAINWRIGHT デビュー・アルバムの解説を掲載!
    2018.11.16
     今回の来日公演でフィーチャーされるデビュー・アルバム『ルーファス・ウェインライト』と2ndアルバム『ポーゼス』の解説を音楽評論家の新谷洋子さんに書いて頂きました。
     まずは、1998年にリリースされた『ルーファス・ウェインライト』の解説を掲載致します。

    『ルーファス・ウェインライト』(1998年)

    2年を費やし、業界最高のミュージシャンたちを揃えて、50曲以上をレコーディング。オルタナティヴ・ロックのブームもひと段落した時期で、特に実績があるわけでもなく、非常に特異な美意識を備え、ゲイであることを公言する新人シンガー・ソングライターを、大手レーベルがサポートを惜しまずに送り出す――。今とは時代が違うとはいえ、ルーファスは破格に恵まれた状況下でデビューを果たしたと言えるが、それだけの価値があったことをこの傑作アルバムは雄弁に物語っている。

    その業界最高のミュージシャンたちとは、デモ制作の段階から関わったカナダ人プロデューサーのピエール・マーチャンド(サラ・マクラクランとのコラボで知られる)、ジョン・ブライオン、ヴァン・ダイク・パークス、ジム・ケルトナー、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのベンモント・テンチといった面々。ルーファスが弾くピアノと彼のバリトン・ヴォーカルを核にしながら、ヴァン・ダイクが腕を振るった優美なストリングスほか、クラシカルなアレンジメントを全編に施し、オペラをこよなくルーファスならではの、絢爛でシアトリカルなアウトサイダー・ワールドに辿り着いている。

    リリシストとしてもやはりシアトリカルな表現を好み、制作当時20代に突入したばかりだった彼は、16歳の時に母との複雑な関係について書いた『ビューティー・マーク』を筆頭に、10代の自分の体験を赤裸々に描く。『ミルブルック』ではニューヨーク郊外の全寮制高校で過ごした数年間を回想し、ヴェルディのオペラ『マクベス』から歌詞を引用した『バルセロナ』ではエイズと死の恐怖を語り、『フーリッシュ・ラヴ』『ダニー・ボーイ』『サリー・アン』の3曲では、不吉な予感を抱きながらものめりこまずにいられなかった、ひとりの男性への想いを吐露。一方、『イン・マイ・アームズ』と『ベイビー』は、ドラッグ中毒でのちに自殺してしまった、また別の恋人に宛てられ、リヴァー・フェニックスの死にインスパイアされた『マチネー・アイドル』は夭逝したスターたちに、『ダムド・レディーズ』はオペラのヒロインたちにそれぞれ捧げて、悲劇的・破滅的なシナリオに酔いしれるロマンティックな青年像を浮き彫りにする。結果的には、決して商業的に成功を収めたわけではなかったものの、その後のインディロックのシーンに大きな位置を占めることになるチェンバーポップを先取りするランドマーク的作品であり 、ルーファスの20年のキャリアの強固な礎がここにある。

    新谷洋子

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