GIZMODROME/ギズモドローム

【メンバー】
スチュワート・コープランド<ポリス> (Dr./Vo.)
エイドリアン・ブリュー<キング・クリムゾン/デヴィッド・ボウイ> (G./Vo)
マーク・キング<レヴェル42> (B./Vo)
ヴィットリオ・コスマ<PFM> (Key./Vo.)

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  • GIZMODROME ギズモドロームの連載企画がスタート!
    2017.12.06
    来たる来年の4月に初のジャパン・ツアーを開催する噂のスーパー・バンド、ギズモドローム。スチュワート・コープランド、エイドリアン・ブリュー、マーク・キング、ヴィットリオ・コスマ、という不思議な組み合わせに戸惑いを隠せない人も多いのでは?
     そんなバンドへの理解を深めるためのテキストを音楽評論家・片山伸さんが執筆、今回はバンドの紹介文とサウンドに対する総評です。

    面白くなければギズモドロームじゃない!!

    ここ最近ロック・ミュージシャンの老化問題と訃報が続く中、元気なヴェテラン勢で組まれた面白いバンドが出てきて久々の明るい話題じゃないかと喜んでいたら、勢い余ってなんと来日公演まで決まってしまった。その面白いバンドとは、もちろんギズモドロームのこと。奇抜なネーミングもさることながら、バンドを構成しているメンバーもそれぞれに大した経歴の持ち主ばかりである。海外ではスーパーグループ(あるいはオールスター・バンド)の出現とはやし立ててはいるものの、実体としては不可解な部分が多いのも事実。なんせこのメンツでのバンド結成のニュースが流れたのは2017年になってからで、その後あっという間にアルバム『ギズモドローム』ができあがってしまったのだ。
    まず一番興味をそそられるのが「ギズモドロームってどんなバンドなの?」ということ。元ポリスのスチュワート・コープランド(ds:英)、現キング・クリムゾンへの復帰が伝えられたばかりのエイドリアン・ブリュー(g:米)、レベル42のマーク・キング(b:英)、そして元PFMのヴィットリオ・コスマ(kbd:伊、正確にはコズマと発音)という、ほとんど繋がりが見えない4人たちによるメンバー構成。確かにそれぞれがたどってきた功績を見ればスーパーグループと呼ばれてもおかしくはないが、正直ちょっと違和感があるのも事実。例えばポリスはロンドン・パンク隆盛の時代に一石を投じたニュー・ウェイヴ・ロック、キング・クリムゾンやPFMはプログレッシヴ・ロック、レベル42はフュージョン・ファンク・ロックというように音楽志向が異なっていて、それぞれのバンドは素晴らしいものばかりだが、4人が集まったときにいったいどんなサウンドが飛び出てくるのか、まったく想像ができない。
    ポリスが持っていたホワイト・レゲエのリズム感や、その後コープランドが組んだアニマル・ロジックのポップ感覚、彼がクラーク・ケント名義でリリースしたソロ・アルバムで聴かせた破天荒なヴォーカルなどがギズモドロームに反映されている。ブリューは俗にフランク・ザッパの門下生と言われるだけあって、清く正しい変態ぶりを披露。彼が80年代キング・クリムゾンの復活劇に大きく貢献したことは広く知られているが、まるでゴムを扱うが如くグニャグニャと呻くギター・サウンドは彼の代名詞でもあり、ギズモドロームでもその才能は遺憾なく発揮されている。キングは80年代に高速スラップ奏法(日本ではチョッパー奏法と呼ぶ)を確立させたベーシストとして著名で、レベル42ではリード・ヴォーカルもとっていたが、ギズモドロームではそのどちらもほとんど封印状態となり重低音を鳴り響かせている。これがまた実に心地いいのだ。最年少(と言っても52歳!)のコスマは80年代後半にPFMに参加したキーボーディスト。PFMはイタリアを代表するプログレ・バンドで、グレッグ・レイクが気に入り1973年にマンティコア・レコードから世界デビューさせたことで広く知られるようになった。コスマはニュー・ウェイヴ一色となっていたイタリア音楽界でPFMを甦らせた立役者であり、その後はイタリアン・ポップ・シーンを牽引する活躍をしている。ギズモドロームにおいてはアレンジの核として、またハチャメチャなメンバーたちのまとめ役として貢献している。

    ではこんな変人ばかりが集まったギズモドロームの音楽をいったいなんと表現すれば良いのだろうか。こんな疑問に真っ先に答えてくれたのは、実質的なリーダーであるコープランドだ。彼は「プログレッシヴ・ポップ」だと言う。その根拠は「通常のポップ・レコードの数倍の演奏が詰め込まれていて、ドラム・フィルが多くて、頭のイカレたギターが入っているという点だ」とのこと。一方ブリューは「何が起こるかわからない音楽のジャングルに住んでいるようなもの」と説明している。ちょっと抽象的だが、例えばエイジアやバグルズ、ELO、アラン・パーソンズ・プロジェクト、もう少し細かいところでは10ccとかスパークスとかサッド・カフェ、トッド・ラングレンなど、それぞれの音楽性は異なるもののリスナーにちょっとしたサプライズを見せようとする姿勢...そしてなによりもポップであること...こんなバンドたちと似ているのではないだろうか。
    また基本的にリード・ヴォーカルをコープランドが歌っていることでも話題沸騰中だ。彼の歌は一聴するとぶっきらぼうな感じに聞こえるのだが、実はリズミカルでパーカッシヴな響きがあり、バンド・サウンドの要としての役割を見事に果たしている。コンサートではコープランドがステージ前方へ出てきて歌い、セカンド・ドラマーをたてるなんてことも伝わってきている。まるでフィル・コリンズばりの大車輪となるコープランドに注目したいし、きっと壮絶なツイン・ドラム・バトルも見せてくれることだろう。さらにギズモドロームを面白くさせている最大の特徴は、英米伊混合バンドであるということに尽きる。英米混合バンドならフォリナーをはじめ、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス、ストレイ・ドッグ、アンドリュー・ゴールドとグレアム・グールドマン(10cc)によるWAX、もちろんアニマル・ロジックなど、すぐにいくつかのバンドの名を想い浮かべるが、3ヵ国混合というのは非常に珍しいものであり、どうやらギズモドロームのサウンドの鍵はこの英米伊のミクスチャーにありそうだ。
    さて、たった15日間で作りあげたと言われるデビュー作『ギズモドローム』は、もうお聴きになっただろうか。方々に散らばっていたジグソー・パズルのピースがピタリと組み合わさるかように、4人の才能が完全なる化学反応を起こして音のカレイドスコープを形成しているようだ。あるときは冗談交じりで、またあるときはシリアスに、摩訶不思議で面白い音楽、それがギズモドロームなのだ。

    片山 伸(Shin Katayama)

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